デジタルミュージアム関連ニュース:2025年11月
- Koji Machi
- 11月25日
- 読了時間: 4分
1. システム・技術動向
早稲田システム開発、デジタルアーカイブ事例検索サービスを公開(11月19日)
早稲田システム開発株式会社は、同社のクラウド型収蔵品管理システム「I.B.MUSEUM SaaS」で構築された約400件のデジタルアーカイブ事例を検索できる新サービスを公開しました。「都道府県」「館種」「構築方式」などの条件でフィルタリングが可能であり、これからアーカイブ構築を目指す機関が、類似施設の先行事例を容易に参照できるようになります。これにより、システム設計や公開方針の策定における工数削減と品質向上が期待され、博物館DXの加速に寄与します。
米GovScape、ウェブアーカイブ内PDFの全文検索システムを提供開始(11月19日)
米ワシントン大学やボストン大学らの共同プロジェクト「GovScape」は、ウェブアーカイブ内のPDFファイルを対象とした高度な検索システムの提供を開始しました。対象は米政府サイト保存プロジェクトの2020年データに含まれる約1,000万件のPDFです。従来検索が困難であった行政文書や報告書の深層(ディープウェブ)までアクセス可能とすることで、政府情報の透明性向上と、研究者による政策決定プロセスの検証を強力に支援します。 https://current.ndl.go.jp/car/262361
2. 行政・教育・社会動向
文部科学省、社会教育施設におけるデジタル活用実態調査を公表(11月18日)
文部科学省は「令和7年度社会教育施設におけるデジタル活用に関するアンケート調査」の結果を公表しました。公民館等のWi-Fi整備は約8割に達しましたが、オンライン予約システムの導入は約4割、スマートロック活用は1割未満に留まりました。自治体の約7割が「コスト」、約6割が「人材不足」を課題として挙げており、ハードウェア整備に比べ、施設運営の効率化やサービス高度化に向けた業務DXが停滞している現状が明らかになりました。 https://kominkan-support.mext.go.jp/report/report_015.html
米国公共図書館協会、成人教育支援に関するホワイトペーパーを発表(11月12日)
米国公共図書館協会(PLA)は、全米352館への調査に基づく白書『Expanding Possibilities: Public Libraries and Adult Learning』を発表しました。同書では、図書館が識字教育、職業訓練、デジタルスキル支援など多様な成人教育プログラムを提供し、地域経済の活性化や個人のキャリア形成に不可欠な役割を果たしている現状を分析しています。デジタルリソースを活用した学習支援の実態も詳述されています。 https://current.ndl.go.jp/car/262317
3. デジタルアーカイブ公開・活用事例
西東京市デジタルアーカイブ、国史跡「下野谷遺跡」出土品画像を追加公開(11月22日)
西東京市図書館は、同市のデジタルアーカイブに国史跡「下野谷遺跡」の出土品画像データを追加公開しました。同遺跡は南関東最大級の縄文集落跡です。今回の更新により、『田無市史』等の文献に加え、貴重な考古資料へのオンラインアクセスが可能となりました。市はこれを学校教育における地域学習や学術研究での活用に加え、市民が地域の歴史的価値を再発見するための重要な情報資源として位置づけています。 https://www.library.city.nishitokyo.lg.jp/info?pid=1378
北茨城市、デジタルアーカイブ収蔵写真を活用した「リアル」パネル展を開催(11月1日)
北茨城市立図書館は市制施行70周年を記念し、「北茨城市デジタルアーカイブパネル展」を開催しています(会期:11月1日~30日)。「炭礦」「学校」などをテーマに、デジタルアーカイブで公開中の写真資料をパネル化して展示するとともに、古い映像資料の上映も行います。デジタル空間の地域資料を物理空間で再提示することで、インターネットを利用しない層を含めた多世代交流と地域の記憶継承を促進する狙いがあります。 https://lib.city.kitaibaraki.lg.jp/event_sp?id=105
東北大学、「災害を伝える」をテーマに総合知デジタルアーカイブ特別展を開催(11月17日)
東北大学附属図書館は、2025年度ToUDA特別展「災害を伝える」を開催しています(会期:11月17日~12月14日)。大学が所蔵する地学資料、文献、絵葉書などの多岐にわたるコレクションを横断的に展示し、過去の災害がいかに記録・継承されてきたかを紐解きます。自然科学と人文学の資料を融合させることで、防災意識の啓発とともに、学術資源を用いた新たな「総合知」の可能性を提示する試みです。 https://current.ndl.go.jp/car/260635
昭和館デジタルアーカイブ、戦中の実物資料画像などを追加公開(11月1日)
国立の博物館施設である昭和館は、デジタルアーカイブのコンテンツ更新を行い、日の丸寄せ書き、絵日記、旋盤などの実物資料画像38点を追加公開しました。同館は9月にも石川光陽氏撮影の写真資料を大量公開するなど、戦中・戦後の国民生活を伝える一次資料のデジタル化を精力的に進めています。継続的な資料拡充により、歴史研究や平和学習における利用環境の向上が図られています。 https://search.showakan.go.jp/news/

